日産自動車「セレナ」がフルモデルチェンジした。Mクラスミニバンと呼ばれるセグメントでは、トヨタ自動車「ノア/ヴォクシー」やホンダ「ステップワゴン」がライバルだが、新型セレナ最大の売りである「走りの良さ」を雨中で実感した。(ジャーナリスト 桃田健史)
雨中で感じたグレード別の「走りの差」
人気のe-POWERの進化を実感
2023年6月上旬、台風が沖縄周辺に近づき、南からの湿った空気の影響で東海地方から関東地方にかけて雨と風が強まり始めていた。
そんな気象条件で、日産の新型「セレナ」を試乗した。
一般的な見方では「あいにくの雨」というネガティブなイメージを持つかもしれないが、クルマの本質を知って走りを評価するには「恵みの雨」という解釈もできる。
ファミリー層向けのミニバンは、走行中の視界の確保、ハンドリングの安定感、ブレーキングの確かさ、後席などによる家族や友達たちにとっての乗り心地や安心感などなど、評価し得るポイントはたくさんある。
実際、雨風が少し強い条件の中、高速道路と一般道路のワインディングで走らせることで、日産開発陣が新型セレナで目指した「前モデルからの進化」をかなりはっきりと感じることができた。
次ページ以降では新型セレナの「出来」や「進化」、またミニバンの上級モデル志向について筆者が感じたことを明らかにする。