半導体を制する者がEVを制す#14Photo:filo/gettyimages

電気自動車(EV)を起点に始まったモビリティの競争において、日本陣営は劣勢を強いられている。厳しい環境下でも生き残れる自動車・自動車部品メーカーはどの企業なのか。ダイヤモンド編集部では、最新決算の数字を駆使して自動車・自動車部品の「存亡」ランキングを作成。特集『半導体を制する者がEVを制す』の最終回では、八つの独自指標を用いて乱世でも生き残る企業を炙り出した。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

半導体・電池調達にソフトウエア開発
巨額投資競争を勝ち抜く自動車・部品企業は?

 日本の自動車産業は今、文字通り生きるか死ぬかの分水嶺に立っている。電気自動車(EV)を起点に始まったモビリティのグローバル競争において、劣勢を強いられているからだ。

 世界のモビリティ市場では、EVなのかHEVなのかといった、単純に車のタイプを競うのではなく、EVを起爆剤とした“新しいゲーム”が始まっている。トヨタ自動車やホンダ、日産自動車などの日系自動車メーカーは、二つの競争軸において試練を迎えている。

 一つ目は、EV爆増に伴い、半導体や電池といったEVの基幹デバイスの買い負けが鮮明になっている。二つ目は、ソフトウエアを主戦場とする車造りの競争において、中国・欧州勢に大きく遅れをとっている。

 こうした厳しい環境下でも生き残れる自動車・自動車部品メーカーはどの企業なのか。

 ダイヤモンド編集部では、設備投資や研究開発投資を機動的に実行できる「財務力」と「マネジメント力」を備えた企業を将来性の高い企業として評価。自動車・自動車部品55社を対象に、「存亡」ランキングを作成した。

 ランキングを作成するに当たって、重要視したのは以下の4種類のデータ(八つの指標)だ。

●企業の基本的な稼ぐ力を表すデータ…企業を変革するにも「先立つもの」が必要であり、本業でキャッシュを稼いでいる企業を高く評価した。
指標:年平均売上高成長率、営業利益率

●将来への投資意欲を表すデータ…現状の事業領域に甘んじることなく、変化を恐れず新しい領域への野心を燃やしているかを端的に表しているのが、研究開発費にかかわる指標で評価した。
指標:研究開発費、売上高研究開発率、フリーキャッシュフロー

●事業の拡大意欲を表すデータ…製造業にとって、設備投資の増減は生命線。設備投資をしっかり実施している企業を高く評価した。
指標:設備投資額、売上高設備投資率

●株式市場における評価を示すデータ…株式市場における期待値が高い企業を評価した。
指標:株価純資産倍率(PBR)

 上記の八つの指標を用いて、企業の実力値とポテンシャルを総合的に評価した。それでは、次ページで「EVシフトで生き残る55社」ランキングの結果を見ていこう。