新入社員たちにとってのかけがえのない財産に
いよいよ、当研修のクライマックスである「総合ロールプレイ」が始まった。1グループ6人で、3人ずつ2つの仮想企業に分かれ、それぞれが課長役・先輩役・新人役を担当する。電話応対・アポイントメントの取次ぎ・相手先の会社訪問・3対3の名刺交換・エレベーター前で辞去するまでをノンストップで、研修テキストを見ずに行わなくてはならない。しかも、すべてがオンラインでの実施だ。ハードルのかなり高いロールプレイだが、グループごとにブレイクアウトルームで行われた練習を見学したところ、すべてのグループが役割を素早く決め、何度も何度も実践を繰り返していた。練習の時間が足りないと判断して、終了前に垂水講師に相談するなど、これまでに学んだタイムマネジメントも行われ、新入社員たちの成長を強く感じた。
やがて、各グループの発表タイムがやってきた。スムーズにできない場面もさすがにあったが、メンバー同士で協力し合い、最後まであきらめずにこなしていく。中には、「お荷物をお預かりいたします」など、シナリオにないセリフを加えたり、電話応対の際に番号を復唱したりするなど、応対のバージョンアップを試みるグループもあり、2日間での学びの成果が多く見られた。各グループの発表後には、他のグループのメンバーがコメントし、「場面の切り替わりが分かりやすかった」「トーンが明るく、セリフに抑揚があったので印象が良かった」など、好意的な意見も寄せられた。垂水講師も「とてもよくフォローし合っていました」と褒めながら、「お客さまへの感謝の気持ちがもっと入ると良いですね。大切なのは、対応の失敗を恐れるのではなく、会社の一員として、一人ひとりのお客さまに誠実に向き合う意識です」と解説し、新入社員たちが画面越しにうなずいた。
研修2日間の「まとめ」のワークとして、「研修の成果」と「今後の課題」についてグループで討議し、各自がチャットで投稿した。「仲間と意見を共有することで、理解をより深めることができた」「事前課題のテキストで学んだときは深く理解できなかったが、研修を通して身をもって学ぶことができた」など、前向きな感想が目立った。最後に、「理解度テスト」の回答を受講者全員が提出し、「『フレッシャーズ・コース2023』を活用した自律型新入社員研修」は全プログラムを時間どおりに終了した。
私は、オンラインでの新入社員研修を2日間見学して、お辞儀や名刺交換など「動作が主となるもの」は対面研修のほうが学びやすいと思いつつも、垂水講師が語っていたように、閉鎖された空間がコミュニケーションを活発にすること、講師と受講者の距離が平等で対話しやすいことなど、オンラインならではの利点がたくさんあることに気づいた。
「オンラインで、受講者たちがこれだけ親しくなれることに改めて驚きました。入社した企業は違うけれど、みんな同じ新入社員だという安心感を抱き、お互いへのエールを持ち帰ったかもしれません」(垂水講師)
オンラインでの公開型研修だからこそできる、所在地を問わず、さまざまな企業の新入社員がグループワークを行い、一緒に学べるプログラム――それぞれの職場で業務を覚えていく日々が始まれば、こうした機会はなかなか得られないだろう。「『フレッシャーズ・コース2023』を活用した自律型新入社員研修」は、社会に出たばかりの新入社員たちにとって、かけがえのない財産になったはずだ。