アイデアが思いつかない」「企画が通らない」「頑張っても成果が出ない」と悩む方は多くいます。その悩みを解決するために「個人のセンス」も「やみくもな努力」も必要ありません。人に認められている「優れたアイデア」から自分の脳内に「再現性のある回路」をつくればいいのです。『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』の著者、クリエイティブディレクター中川諒氏による「いつも結果を出す人」の秘伝の思考技術を紹介します。

頭のいい人は「耳」を使ってうまく考えるPhoto: Adobe Stock

耳で発想する

考える対象がすでに市場に出ている商品であれば、使っている人を探してインタビューをしてみます。

すぐに誰か思いつかなければSNSで知人に呼びかけてみてもいいでしょう。
何をキッカケにその商品を買ったのか、使ってみて気に入っているところはどこか、逆にどんな不満を抱えているのかを聞いていきます。そうすることで、商品に対する理解の解像度がぐんと上がるはずです。

購入のキッカケになったことは、その商品の魅力に直結します。
また、いま気に入っているポイントが購入理由と違う場合は、そのポイントが実は本当の商品の魅力の可能性もあります。

そして不満に感じているポイントは、工夫の出発点です。

人に聞くだけで、3つの新しいアイデアの出発点を手に入れることができます。

アイデア出しの途中で、わたしはそのアイデアを人にどう思うか聞きます。自分と違う視点で物事を考えている人の脳を借りるのです。

その商品のことや、問題整理について知らない人をあえて選んで聞くことで、また違う出発点を手に入れることができます。

気分転換に耳から入る情報を変える

耳から入る情報で自分の気分を変えるのも有効な方法です。

わたしは多いとき、1日に3回場所を変えてアイデア出しをします。

周りの環境音や人が変わるので、場所を変えるごとにフレッシュな気分でアイデア出しと向き合うことができます。

『スラムダンク』や『バガボンド』の作者の井上雄彦氏がNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で制作風景を取材されたとき、喫茶店を1日に何軒もハシゴしていました。

それぞれの喫茶店に、役柄やキャラクターを考える場所、ストーリーを考える場所など、役割と行く順番を決めているという話も印象的でした。

場所を変えるのが難しければ、聴く音楽を変えるのも効果的です。

耳から入る情報、特に音楽には気分が大きく左右されます。明るい音楽と暗い音楽。うるさい曲と静かな曲。それぞれを使い分けて聴くようにしています。

ひとつ注意点は歌詞の言語です。アイデアを言葉で整理しようとするときに、聴こえてくる歌詞が理解できてしまうと思考の邪魔になります。

日本語でアイデアをまとめようとしているときは、言語の重ならない洋楽や歌詞のない曲を選ぶことをオススメします。

(本記事は中川諒著『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』から抜粋し、一部を改変・編集したものです)