人の上に立つと、やるべき仕事や責任が格段に増える。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが多く発生し、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」「やるべきことが多すぎないか…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるリーダーたちにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。大人気シリーズ最新刊の本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「組織を変えることができないダメ管理職」の、たった1つの特徴を解説する。(構成/種岡 健)
いかなるときも「性弱説」を前提に
もう1つ、「仕組み化」にはメリットがあります。
それは、個人の仕事に応用できる点です。
「○○をしたら、××をする」
という、シンプルな習慣術があります。
「朝にコーヒーを淹れたら、新聞を開く」
「スマホの電源を切ったら、最初の仕事に取り組む」
「風呂上がりに着替えたら、ストレッチをはじめる」
そうやって、「簡単な行動」と「続けられない習慣」を結びつけておく発想です。
仕組みのように自動化しておくと、後者のほうをスムーズに開始することができます。
そして、その根底には、「性弱説」があります。
「性弱説」というのは、「人はラクをして生きるものだ」と、精神論を諦めた上で物事を考えたほうがいい、という教えです。
だから、仕組み化をやっておかないと、毎回、
「新聞を読まないといけないな……」
「仕事をしているとスマホが気になるな……」
「ストレッチしてから寝ないとな……」
と、頭で考えてしまったり、自分の誘惑といちいち戦ってしまうことになります。
すると、どんどんと億劫になっていきます。だから、筋トレもダイエットも貯金も、「習慣」と呼ばれるものはすべて「続けられない」のです。
このムダを極限までシンプルにするのが、「仕組み化」のメリットです。
性弱説にのっとって改善していく姿勢が、組織をどんどんよい方向に導きます。
「組織を変えていく人」になってください
機械は、歯車が完璧に噛み合うことで、大きな動きができます。
全員が機能的に動き、大きな目的を果たします。
1人の力ですべてやっているように見えるのは、錯覚です。
この世は、たった1人で大きなことをやってのけることができないようになっています。
その現実に、早く向き合いましょう。
ダメな管理職は、「性弱説」を知りません。だから、「やればできる」と思い込みすぎています。
あるいは、自分1人の力を過信しています。
そうではなく、いったん歯車として完璧なまでに動くことができれば、組織で働く個人が「最大の喜び」を得られることを、ぜひ学んでください。
そして、人の上に立ち続けてください。
「ずっと上の言いなりになれ」ということが言いたいのではありません。
仕事を進める上で違和感があれば、その原因を調べ、上に伝えればよいのです。
そうやって自ら組織を変えていく人になってください。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)