新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はウエルシアホールディングス、ツルハホールディングスなどの「ドラッグストア」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
ドラッグストア各社増収
マツキヨココカラが大増益
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は、以下のドラッグストア業界5社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(ウエルシアホールディングス、コスモス薬品、ツルハホールディングスは22年12月~23年2月期、残りの2社は23年1~3月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ウエルシアホールディングス
増収率:10.7%(四半期の売上高2983億円)
・コスモス薬品
増収率:7.7%(四半期の売上高2023億円)
・ツルハホールディングス
増収率:7.8%(四半期の売上高2473億円)
・マツキヨココカラ&カンパニー(旧マツモトキヨシホールディングス)
増収率:6.7%(四半期の売上高2370億円)
・サンドラッグ
増収率:8.8%(四半期の売上高1709億円)
※スギホールディングスは、収益認識に関する会計方針の変更を行って前年同期比増収率の算出ができないため、今回は対象から除外した。
ドラッグストア業界の主要5社全てが前年同期比で増収となった。22年10月には新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和され、インバウンド需要が回復傾向にある他、かぜ薬などの医薬品の需要も全体的に増えてきていることが背景にある。
なお、マツキヨココカラ&カンパニーの23年3月期通期の営業利益は前期比5割超の大幅増益となった。他社よりも大きく伸ばせたのは一体なぜか。
次ページで詳しく解説する。