実にMらしい
操縦感覚はまさにスポーツカー
赤いボタンをプッシュすると爆音とともにV8エンジンが目を覚ました。走り出すとそのあまりにハードな乗り心地に驚いた。試乗車には22インチのタイヤ&ホイールが装着されていたのだが、実はタイヤのチョイスも含めて試乗車は最もスポーティな仕様だった。そのため街中での乗り心地はかなり硬質。救いはスポーツタイプのシートが優秀だったこと。なにしろ強めの突き上げをしょっちゅう食らったのに4時間ものドライブに耐えることができたのだ。ちなみに標準の23インチ仕様を試した同業者は、「乗り心地がいい」といっていた!
空いたところを見計らって、Mのロードカー史上最強のパワートレーンを解放する。XMの心臓部は489ps/650NmのV8ツインターボ+197ps/280Nmの電気モーター。システム総合で653ps/800Nmを発する。
右足を思い切り踏み込むと、V8が盛大な唸りを上げた。サウンドは豪快で、回転フィールは砂浜をかき回すように心地よい。そしてもちろん、すさまじくパワフル。巨体がそのまま飛んでいきそうな恐怖感さえ覚える。
70km/hを超えたあたりで硬質な乗り心地から解放された。心地よいフラットライドになる。ワインディングロードも難なくこなす。その操縦感覚はまさにスポーツカー、実にMらしい。
(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/BMW)