80歳のバイデン大統領は
「睡眠時無呼吸症候群」
6月29日、ホワイトハウスで記者会見に臨んだカリーヌ・ジャン=ピエール報道官は、バイデン大統領の健康問題について釈明に追われた。
その前日、ホワイトハウスが、バイデン氏について、「睡眠時無呼吸症候群のため、治療機器であるCPAP(シーパップ)を使用している」と明らかにしたからだ。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に空気の通り道である「上気道」が狭くなることによって、10秒以上呼吸が止まる無呼吸状態に陥る病気である。
しばしば指摘される「大きないびき」程度ならまだしも、高血圧や脳卒中、それに心筋梗塞など虚血性肺疾患を発症しやすいとなると大問題だ。
「大統領は2008年に自身の睡眠時無呼吸症候群を公開している。全米では約3000万人が睡眠時無呼吸症候群だ。大統領はウクライナを訪問して、ゼレンスキー大統領とも会うなど信じがたいほど活動的だ」
ジャン=ピエール報道官はこのように釈明したが、82歳で1期目を終え、再選されれば86歳まで大統領を務めることになるバイデン氏にとっては、健康不安説の一つ一つが、すでに実質的な戦いが始まっている大統領選挙(2024年11月)の致命傷になりかねない。
筆者の知人で民主党の関係者は、「早めに公表することで懸念を打ち消したかった」と、ホワイトハウスの戦略を代弁する。
しかし、睡眠時無呼吸症候群が明らかになる前のNBCテレビの調査(実施時期は6月16~20日)でも、バイデン氏について「大統領として心身の健康を十分満たしてない」と考えている有権者の割合は68%に上っている。