親子関係「あまり満足していない」妊婦は高血糖のリスクか、東京医科歯科大が調査写真はイメージです Photo:PIXTA

 両親との親子関係にあまり満足していない妊婦は、妊娠中に高血糖を来すリスクが高いというデータが報告された。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Pregnancy and Childbirth」に4月4日掲載された。藤原氏は、「妊婦健診の際に親子関係を尋ねることが、妊娠中高血糖のリスク評価に役立つのではないか」と述べている。

 妊娠中に血糖値の高い状態が続いていると、難産や巨大児出産などのリスクが高くなるため、妊娠中の積極的な血糖管理を要する。また、妊娠以前から糖代謝異常のリスク因子を有する女性は、妊娠糖尿病などの妊娠中高血糖(HIP)のリスクが高く、その糖代謝異常のリスク因子の一つとして、子ども期の逆境体験(ACE)が挙げられる。そのためACEのある女性は、HIPになりやすい可能性がある。とはいえ、妊婦健診などにおいて全妊婦のACEの有無を把握することは現実的でない。

 一方、成人後の親子関係が良くないことは、ACEの表現型の一つと考えられている。よって、妊婦の現在の親子関係を確認することでACEの有無を推測でき、それによってHIPリスクを評価できる可能性が想定される。以上を背景として藤原氏らは、妊婦に対して親子関係の良し悪しを質問し、その答えとHIPリスクとの間に関連があるか否かを検討した。なお、HIPには、妊娠糖尿病(妊娠中に生じる高血糖)と、妊娠前からの糖尿病、および妊娠時に判明した糖尿病を含めた。