セントラルキッチン内の社員食堂はなかなかのフロア面積だった。広い厨房があって、食堂スペースはテーブル席と畳敷きの小あがりに分かれる。喫煙所があってテレビがついてて、従業員の休憩スペースの役割も果たしている。画期的だったのはテーブルの備品が「カントリー・ラーメン」(山田うどんが展開していたロ-ドサイド型ラ-メン専門店)のデッドストックだったりしたことだ。単にアリモノを使ってるだけなんだろうが、産業考古学的には非常に価値ある埋蔵品だといえる。

 で、取材していてわかったのは、所沢の山田本社ビルの内部にも社員食堂が存在する事実だった。いやあ、これは驚きましたよ。山田食品産業の本社ビルは、山田うどん本店の隣りですよ。正面玄関出て10秒で山田うどん本店です。最寄りもいいとこ。最寄りすぎてこっちまでてれますね、あれは。まぁ、だからそんなに山田うどんが食べたければ本店がそこにあるだろうと僕ら素人は考える。が、店舗はあくまでお客さんのものだ。昼どき、もしも山田の社員・従業員で本店が満席になっちゃってたら世間はどう思いますか。

 本社ビル内の食堂は小さなスペースだった。ここがいいのはね、セルフうどんなんだ。うどん玉を出して自分でゆでて、湯切りしてどんぶりに盛る。旨いんですよ、自分で作った山田うどん。ここはもう、社員が皆、自分のマグカップなんかを置いてあるプライペートスペースだ。ここへお弁当持ち込んで、うどんとセットにして食べたいなぁ。自カセットメニューですよ。そんなこと社員にしかできない。あ、社員じゃないケースだと山田裕朗社長もあり得るな。僕はこれは社長の飾らない人柄のたまものだと思うんだけど、「社員食堂で社長と並んで湯切りする」、実にほのぼのとした光景が当たり前に展開されているんだな。