定年後の「仕事」として、自分にはどんな仕事が向いているのか、そして、その仕事をどうやって見つければいいのかなどを考えていく本連載<定年塾シリーズ>「自分に合った【小さな仕事】の見つけ方」。本連載ではこれまで、定年後の収入と支出を試算したり、実際に定年後の就業状況や収入を紹介したり、定年後の仕事に関するモヤモヤの原因やその対応法を解説したりしてきました。今回は連載名どおり「小さな仕事の見つけ方」を紹介します。

▶第1回「【定年後】生活費の必要額をどう見積もればいいのか?」はこちらから。
▶第2回「【定年後】みんなはどんな仕事で月いくらぐらい稼いでいる?」はこちらから。
▶第3回「【定年後】就きたい仕事に備えて現役のときから準備できること」はこちらから。
▶第4回「【定年後】定年後の仕事で感じるモヤモヤの正体と対処法」はこちらから。
▶第5回「【定年後】早期退職と定年まで勤め上げるーーどちらの生涯賃金が高くなる?」はこちらから。

【データは語る】定年後に仕事を選ぶとき、もっとも大切にすべき「超意外なポイント」とは?「小さな仕事」の選択肢とは? Photo: Adobe Stock

定年後に適した「小さな仕事」の一番大事な要件は、「労働時間が長すぎない」ことです。

人によりますが、週20~30時間が一つの目安。もちろん、元気な方であれば、残業なしフルタイムもありえます。年齢を経るごとに最適な労働時間は変わってくるので、自分が「ちょうどいい」と思う範囲に労働時間を落としていくことが無理なく働き続けていくポイントです。

次に大事な条件が、「仕事の量や責任が重すぎない、人間関係が複雑すぎない」こと。これは言わずもがなですが、責任が重すぎたり、人間関係が悪かったりすると、ストレスが溜まります。定年後は、長く働くほど給料が上がるとか、退職金がもらえるということもありませんから、「がまん」が必要な職場は避けたほうがよいでしょう。

ただし、上2点を条件とすれば、収入は少ない水準になりやすいです。
たとえば、サービス関連職は有力な選択肢になります。施設管理や販売、接客、生活衛生関連など。また、運搬清掃包装、運転(タクシー、宅配、施設の送迎)、農業、保安(警備員、交通誘導)といった体を使う仕事も選択肢の一つとして考えておくとよいと思います。これらの仕事の中に、少ない負荷で生活とバランスを取りながらできる仕事が見つかることも結構あります。今挙げたなかで「農業」も高齢期に従事する人が多い職種ですが、大きくやるとハードルが高いですから、兼業で小さく、自家消費目的でやるぐらいもいいと思います。

さまざまな仕事があるので、「どれもこれも、やりたくない」という方は少ないのではないでしょうか。「自分の好きなこと」や「仕事に求める環境・条件」などからたどって考えてみましょう。

たとえば、

・「子どもが好き」→学校の放課後の補助金、個別指導の講師
・「料理が好き」→特別養護老人ホームの調理補助、スーパーで総菜料理
・「自然と戯れて仕事したい」→公園の管理
・「体を動かしたい」→警備

など、真摯に案件を探す中で自身に合う仕事があるものです。