定年後の「仕事」として、自分にはどんな仕事が向いているのか、そして、その仕事をどうやって見つければいいのかなどを考えていく本連載<定年塾シリーズ>「自分に合った【小さな仕事】の見つけ方」。第1回で、定年後の収入と支出を試算し、第2回では実際に定年後の就業状況や収入を統計から確認しました。この第3回では、現役時代から準備すべきことを考えていきます。

▶第1回「【定年後】生活費の必要額をどう見積もればいいのか?」はこちらから。
▶第2回「【定年後】みんなはどんな仕事で月いくらぐらい稼いでいる?」はこちらから。

【定年後】事務職から現場仕事にキャリアチェンジした人たちの「意外な」仕事満足度現役時代からやっておくべき準備とは? Photo:Adobe Stock

本連載の第2回で、短時間労働者の時給水準は首都圏で約1200円、全国平均で1000円台前半と、ますます上がってきていると述べました。そして企業における人手不足は今後もいっそう深刻化するでしょうし、ますます条件がよい求人が増えていくでしょう。

そういう環境下ではありますが、50代前半の方は、定年後の就職に向けた準備もしておきましょう。どんな仕事に就きたいかで、準備も変わってきます。

たとえば、今まで取り組んできたのと同じような仕事を続けたい方はどうでしょう? 営業畑でやってきて、定年後も営業の仕事で頑張りたい、という場合です。もちろん会社は変わるかもしれないし、変わらないかもしれません。営業部門は一般に、一部の人気大企業を除けば、人手が足りなくなっています。多くの企業は優秀な若手が採れなくなっているので、シニア社員に活躍してもらわないと困る状況です。ひと昔前とは全く異なる環境といえるでしょう。

さらには、高齢者雇用安定法の改正により、70歳までの定年引上げや継続雇用制度の導入、定年の撤廃などいずれかの措置を講じるよう義務づけられました。シニアの方の受け入れを企業側も歓迎する体制です。

「管理職」の仕事は求められない

ただし、定年直前の一定期間は管理職として「営業」の現場の仕事に就いていなかった、という方は、「現場」の仕事ができるように、肩慣らしをしておく必要があります。「管理職」の仕事ができても、「営業」職では役に立ちません。若い現役世代もいるのですから、定年後もずっと管理職で居座る心づもり、という態度だと企業側も困ります。また、再雇用賃金も2~3割は下がるのが一般的です。そのことに恨み節を言い続けるよりは、もっと報酬のよい仕事を探すか、あるいは、報酬に見合うように仕事の量と質を調整する、というのも方策の一つです。

このほか、同じ仕事をする以外にもさまざまな選択肢があります。

副業を機に専門知識を身につけたり取引先を見つけて、現役時代とは異なる仕事に就きたい、という方もいらっしゃいます。小さい企業に移って活躍したい、という方もいらっしゃいます。それには、必要な人脈を築いたり、業務ができる知識やスキルを身に就ける必要があります。今までの仕事を土台としてプレーヤーとしてやっていって、もう少し先で地域に根差した仕事に移っていくという選択もあるでしょう。

専門知識はないという方も心配しすぎないでください。失業率は2%台半ばで、細々と選り好みをしなければ仕事がないということはまずありません。