定年後の「仕事」として、自分にはどんな仕事が向いているのか、そして、その仕事をどうやって見つければいいのかなどを考えていく本連載<定年塾シリーズ>「自分に合った【小さな仕事】の見つけ方」。第1回で、定年後の収入と支出を確認したので、この第2回では具体的に定年後にどんな仕事に就いていて、いくらぐらいもらっている方が多いのか、見ていきましょう。

▶(ご参考)第1回「【定年後】生活費の必要額をどう見積もればいいのか?」はこちらから。

【定年後】「59歳、定年後も今の仕事を続けよう」という考えが危ういこれだけのデータみなさんはどんな仕事に就いているのか? Photo: Adobe Stock

平均的な労働収入について、60代後半~70代前半の就業者でみれば中央値で年170万~180万円ぐらいです。現役の時に比べれば少ないと思われる人も多いと思いますが、それでも月平均15万円は入ってくる計算になります。夫婦二人世帯であれば、元気なうちは夫婦それぞれ月10~20万円程度であれば、無理せず仕事をして稼げるでしょう。すると、統計上の平均的な支出額<無職世帯(夫婦二人以上の世代で、世帯主が無職)の60代後半で30万円台(住居費も含む)>必要額は年金に手を付けなくてもおよそクリアできます。

では実際にどんな仕事で、どのような働き方をしている方が多いのか。参考として、現状の高齢層の統計を見ていきましょう。

■高齢層の就業状況
現状、60代後半では約半数、70代では30%前半ぐらいの方が働いています。就業率ベースでは過去10年で10%近く伸びています。いま50代の方であれば、おそらく定年後も働く方が多数派になるでしょう。

【定年後】「59歳、定年後も今の仕事を続けよう」という考えが危ういこれだけのデータ年代別の就業率の推移(出所:総務省「国勢調査」80.90.2000.2010.2020年の比較)
図表制作:G体(うちきば・がんた)
拡大画像表示

■職種
60代以降の方が就いている職種はさまざまです。現役世代の方で多い職種は、事務・専門技術職・販売職(営業含む)で、40~50代だと5割強にあたり、男性は特にその傾向が強いです。これが、60代以降で事務・専門技術職・販売職に就いている方となると、全体の3割ぐらいに減ります。多くなるのが、サービス職(施設管理、販売、接客、生活衛生関連など)、運搬清掃包装、運転(タクシー、宅配、介護施設の送迎)、農業(大きくやるとハードルが高い。兼業で小さく。自家消費目的)、保安(警備員、交通誘導)といった職種です。

■仕事の探し方
皆さんが仕事を見つける経路はというと、特別な探し方はあまりないと思ったほうがいいでしょう。ハローワーク(職業安定所)、新聞・チラシやフリーペーパーなどの広告で見つけた、あるいはネットで調べた、市の広報で見つけた、という方も多いです。前職や知人からの紹介という方も割といらっしゃいます。

【定年後】「59歳、定年後も今の仕事を続けよう」という考えが危ういこれだけのデータ入職経路(出所:厚生労働省「雇用動向調査」)
拡大画像表示

■報酬
統計を見てみると、短時間労働者の時給水準は首都圏で1200円ぐらい、全国平均では1000円台前半です。この時給水準はこの10年間で2割ぐらい上がってきています。背景には、最低賃金の上昇に加えて、人手不足があります。時給が上がってきたことは、定年後のみなさんが労働参加している要因にもなっているようです。これは今後、定年を迎える方が若かった当時と比べて顕著な違いでしょう。これから5~10年後に向けて、ますます時給は上がっていきそうです。

■就業時間
年間1000時間ぐらいの方が多いようです。ざっくり計算すると、月80時間、週20時間になりますから、たとえば週5回×4時間、あるいは週3回×7時間といった働き方でしょう。

このぐらいのペースなら年金の繰り下げ受給まで頑張れる、と思えませんか?