新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことで、コロナ禍によって大打撃を受けた業界・企業の業績の完全復活に対する期待が高まってきた。上場49社、15業界における月次の業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「【月次版】業界天気図」。今回は、2023年6月度の専門飲食店編だ。
鳥貴族が快進撃?四国と東北に初出店!
専門飲食店の主要3社が発表した6月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯鳥貴族の既存店売上高
6月度:前年同月比123.0%(23.0%増)
◯餃子の王将(王将フードサービス)の既存店売上高
6月度:同108.5%(8.5%増)
◯いきなり!ステーキ(ペッパーフードサービス)の既存店売上高
6月度:同107.5%(7.5%増)
3社とも前年実績を上回り、特に、鳥貴族の増収幅は20%を超えた。詳細は次ページで解説するが、鳥貴族はもう何カ月も連続で既存店売上高(前年同月比)が増収している。この勢いを表すかのように今年、四国と東北に初出店する計画も打ち出した。徳島県に10月上旬、宮城県仙台市の繁華街・国分町に今秋、新店をオープンする予定だ。
外食業界の中でも特に酒類を扱うチェーンは、新型コロナウイルス禍の打撃が大きく、営業もままならない時期が長かった。しかし、この1年ほどは客足が戻り、業績の完全復活に期待が高まっている。
ところが、コロナ禍になる前の月次動向と比較した「実態値」を確認すると、3社の明暗が分かれた。日に日に高まるアフターコロナの機運に乗り切れていない「負け組1社」はどこか、当ててみてほしい。「コロナ禍のせい」という言い訳では片付けられない、悲惨な経営状況が浮き彫りになった。