サイゼリヤ、ガスト、バーミヤン、ロイホ…値上げ時代の「ファミレス業績格差」の実態Photo:Diamond

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことで、コロナ禍によって大打撃を受けた業界・企業の業績の完全復活に対する期待が高まってきた。上場49社、15業界における月次の業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「【月次版】業界天気図」。今回は、2023年6月度のファミレス編だ。

値上げ時代のファミレス業績格差

 ファミリーレストランの主要3社が発表した6月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯すかいらーくグループ(すかいらーくホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
 6月度:前年同月比112.1%(12.1%増)

◯ロイヤルホスト(ロイヤルホールディングス〈HD〉)のロイヤルホスト既存店売上高
 6月度:同112.3%(12.3%増)

◯サイゼリヤの既存店売上高
 6月度:同113.7%(13.7%増)

 3社とも前年の実績を超えていて、いずれも2桁増収。その差はほとんどない。なお、すかいらーくグループは、ガストやバーミヤン、ジョナサンなどを含む。かつて格安ファミレスの筆頭格だったガストは、近年はすっかりその座をサイゼリヤに奪われている感もある。

 サイゼリヤでは定期的にグランドメニューの改定を行っているが、7月12日に行った23年夏のメニュー改定もSNSを中心に話題をさらっている。さまざまなものが値上がりする昨今、値上げをしない逆張り戦略を貫いており、「安くておいしい外食チェーン」として人気だ。

 さて、月次業績に話を戻そう。一見すると3社とも好調のようだが、コロナ前の実績と比較した「真の復活度」を確かめると、「2桁増収」「横ばい」「減収」と意外な実態が明らかになった。

 3社の実態は、それぞれどうなっているのか。次ページでは19年10月から約3年半分の月次動向をグラフデータで振り返り、各社のコロナ禍からの回復状況を詳しく見ていこう。