若者のワークライフバランスが
日本の課題ではないか

「ジャパン・トレック」では日本の素晴らしさを体感しただけではなく、課題について考えさせられた出来事もありました。私たちが東京に滞在中、深夜にラーメンを食べていると、ビジネススーツを着た日本人男性のグループが店に入ってきました。年齢は私たち学生と同じぐらいだったでしょうか。終日仕事をして、仕事帰りにみんなでラーメン店に立ち寄ったのは明らかでした。

 ハーバードの授業で習ったこともあり、日本の大きな課題が人口の少子高齢化であることは理解していましたが、若手のビジネスパーソンが深夜まで働いた後にラーメンを食べているのを見て、「これでは子どもの数を増やすのは難しいのではないか」と思いました。

 日本の社会には若者が長時間働かなくてはならないような仕組みがあり、それが少子化の要因の一つであること、そして、若者のワークライフバランスの推進こそが日本の課題であることを、真夜中のラーメン店で実感しました。

将来は医師と企業を両立して
安価な治療を提供したい

 ビジネススクールとメディカルスクールを卒業した後は、医師兼起業家の二刀流を目指す予定です。そして、医師兼起業家になった暁には、より多くの人々に、高品質な医療を、できるだけ安価に提供するのが私の夢です。

ハーバードの学生が「スシロー、セブン」に感動した訳、深夜のラーメン店で日本の課題も発見?大阪城にて=2023年5月21日、大阪府大阪市 写真提供:ケイレブ・ウォーレン

 アメリカ政府は膨大な予算をヘルスケア分野に割いていますから、アメリカの医療が世界最高峰であることは間違いありません。国民は医療費さえ負担できれば、最高品質の治療が受けられます。

 その一方で、医療費があまりにも高いために、病院に行くことさえためらってしまう人たちも数多くいるのも事実です。つまり多くの国民が十分な医療を受けられていないのです。この問題を解決するには、何よりもビジネスの素養を持った医師が必要です。

 私の理想は、プライマリー・ケアの専門医として患者を診療しながら、自分の会社も経営していくこと。長期的には自分の会社を設立し、一般の人たちが安価に治療を受けられるようなビジネスを構築したいと考えています。