同社では1時間ほど会社概要やIT戦略について説明を受けましたが、日本の食品業界のデジタル化がこれほど進んでいるとは思いもしませんでした。

 まず何よりも驚いたのが、すし皿の裏側にICチップがついていること。このICチップから得られる情報をもとにリアルタイムで売れ筋状況を把握し、その分析結果をネタの仕入れに反映。さらにはレーン上を一定距離走ったネタを自動的に廃棄していると聞きました。このシステムは「鮮度の高いすしの提供」と「フードロスの削減」の両方を可能にするものです。

 ビジネスの観点から見ても、サステナビリティーの観点から見ても、素晴らしいシステムだと感じました。

 説明会の後は待ちに待った回転ずしの試食タイムです。私たちが訪れた「スシロー江坂店」のすしはどれもおいしかったですが、穴子、まぐろ、さばのすしが特においしかったです。

 質疑応答の時間には、私たち学生から「こんなにおいしいのに、なぜこれまでアメリカで回転ずしの店をオープンしなかったのですか」「もしアメリカに進出したら、どのように新鮮な魚を仕入れるつもりですか」といった質問が出て、会社の担当者からは「どのすしが一番おいしかったですか」「アメリカでも受け入れられると思いますか」といったことを聞かれました。

 私自身、初めて「スシロー」で回転ずしを体験しましたが、「未来のレストラン」で食事をしている感じがとても気に入りました。タッチパネルで注文して、皿がまるで電車のようにレーンの上を走ってやってくる。こんな面白い体験はありません。ぜひ「スシロー」をボストンにオープンしてほしいと思います。

医師を目指す私にとって
広島への訪問は忘れられないものになった

 5月24日には広島平和記念公園を訪問しました。広島平和記念資料館では被爆者の遺品や被爆の惨状を示す写真などを見学しましたが、想像を大きく超える被害を目の当たりにして声を失ってしまいました。

 私は現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校メディカルスクールを休学して、ハーバードビジネススクールで学んでいますが、卒業後はメディカルスクールに戻り、医師になるつもりです。資料館では、知らず知らずのうちに、医療従事者としての視点から、原爆投下のもたらした惨状に目を向けていることに気づきました。

 1945年8月6日、広島では原爆投下により、多くの病院が全壊し、多くの医療従事者が犠牲になりました。そして生き残った医療従事者と広島から遠く離れた地域から駆けつけた医療従事者が必死で治療に当たったと聞きました。

 自然災害や局地的な紛争であれば、被災地の近くにいる医師がすぐに駆けつけて、救援活動を行うことができます。ところが原爆は一瞬にして街全体を全滅させてしまいます。街から人の命を救う機能をも一瞬で奪ってしまう原爆の悲惨さをあらためて痛感しました。将来、医師を目指す私にとって、広島での体験が忘れられないものとなったのは言うまでもありません。