米南部の田舎町マグノリアのパーネル・バン市長は、ベルトに拳銃を差してフォードの1995年型ピックアップトラックから飛び降りた。新たなエネルギーブームが起きる証拠を探しに行くためだ。バン市長は真新しいペンキが塗られた入り口の反対側から、長く休眠状態だった坑井に設置された、バルブやボルト、圧力計を収めたずんぐりした青色の塔を指さした。誰かが生き返らせようとしている紛れもない証しだ。石油掘削会社がはるか昔に放棄した油田の上を交差する木の生い茂った脇道沿いに、バン氏はこの日、同様の坑井を他に二つ発見した。最近この地にやってくる業者の目的は石油ではない。電気自動車(EV)向けバッテリーの材料として世界中が注目する金属、リチウムを探査している。