奥さんにも働いてもらわないと
家計は大ピンチに!?
そこで考えたいのは、現在は専業主婦である奥さんにパートかアルバイトとして働いてもらうことです。たとえば、奥さんが手取りで月8万円、年間96万円ほど稼げれば、Nさん夫婦の世帯収入は516万円(420万円+96万円)に増えます。
家計をやりくりして年間支出額を456万円(従来の501万円から約9%減)に抑えると、目安の「年間黒字額60万円」を実現し、65歳までに2000万円の老後資金を準備できます。一気に実現可能性が高まったのではないでしょうか。
しかし、これで安泰ではありません。上記の試算では触れませんでしたが、もしNさんの転職先が「60歳定年制」を設けており、そこから65歳までは「年収ダウンの再雇用」に変わる場合は、貯蓄のハードルがさらに上がります。
先ほどの「長続きしない」という指摘と矛盾するようですが、その状況下で貯金のペースを保つには、どうしても「奥さんに働いてもらいつつ、支出も大幅に減らす」という最終手段が必要になってきます。厳しいことを言うようですが、Nさんはベースとなる収入が半減するのですから、相応の覚悟を持って家計収支を見直すべきです。
そして、最後にもう一つ、筆者の懸念事項を記しておきます。Nさんは相談文に「不動産投資で売却益を得る予定」と記載していますが、想定通りうまくいくとは限りません。
マンション投資には空室リスクが付きまといますが、Nさんは賃借人がいなくなった場合の持ち出し増を考慮していないように思えます。
年収が大幅ダウンする可能性が高い中、不動産投資で3900万円ものローン(負債)を抱えているのは、家計収支の観点からはリスク過多と言わざるを得ません。持ち出し金額が現状より増えないことを願うばかりです。