米著名投資家のケン・フィッシャー氏は、弱含みの局面でこそ「高級品株」が魅力的だと主張する。バリュエーション(投資尺度)が高騰し、需要減退懸念が浮上する中でもそのように考えられる理由を解説してもらった。
「高級品株」の上昇は
まだ終わっていない
誰が「高価」な株を欲しがるだろうか?それは、ほかならぬ私だ。あなたもそうなるべきではないか、特に高級品企業――中でも最も高価なものを。
最近は皮肉にも、高級品株が実際には“高級”ではなかった。6月に若干上昇したが、5月初旬の高値から6月下旬に約2%下落した。一方、世界株式は大幅上昇している。そのため、多くの人は、高級品業界のバリュエーション(投資尺度)が高騰する中で米国や中国の需要が減退し、同業界の市場牽引役が不在になると懸念する――それが株価急落を招くのだと。
だが、それは違うと言っておきたい。直近の弱含みは買いの好機だ。考えてみよう:大型高級品株は大型テック株と共に、米ドルベースで底を打った昨秋から不規則に市場の上昇を牽引してきた。そのほとんどはトレンディーな欧州ファッション企業だ。
これらは多くのテック企業と同様、質と安定性の高い成長をもたらす。低成長が続く現下の世界経済においては、まれな存在だ。経済の強さが疑わしいとき、市場は“全天候型”の成長にこそプレミアムを付ける。よって、高級品株が安くないのは驚きではない。
5月の下落局面でも、世界的な高級品企業の魅力はほとんど損なわれなかった。同業界は2023年に約3割上昇している――米ドルベースで見た底打ち局面からは約4割上昇し、同期間の世界株式の約2割上昇を凌駕する。高級品企業の銘柄は日本にはないが、米国では幾分かのエクスポージャーを提供する。
本場は欧州だ――何しろ、世界の高級品企業の時価総額の約4分の3を占める。これらの銘柄は23年に市場を牽引してきた。フランスやイタリアの高級品株は約4割上昇した。スイスでも3割超の上昇だ。
なぜか?以降では、PER(株価収益率)などが高バリュエーションで需要減退懸念に直面してもなお、魅力的といえるメカニズムをさらに詳しく解説していこう。