「新聞を読んでいる者なら誰でも、米国が非常に深刻な長期的財政問題を抱えることを知っている」これは格付け会社フィッチ・レーティングスが1日に米国債の格付けを引き下げたのを受け、どこかの金融評論家が発した言葉ではない。前回の主要格付け会社による格下げは2011年8月にさかのぼるが、当時のベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が口にしたのがこの言葉だ。投資家は長年にわたるこのような警告をグーグル検索で何百件も見つけるかもしれないが、強い懸念は無視するのが最善で、場合によっては買いの好機とみるべきだと結論づける可能性がある。例えば、スタンダード&プアーズ(S&P、現S&Pグローバル・レーティング)が12年前に金融業界にショックを与えた際は、奇妙なことが起きた。株価は正式な弱気相場に迫る水準まで急落したものの、投資家はリスクが高まったはずの債券を大量に購入した。株価はさらに2~3カ月不安定なまま推移した。だが11年間に及ぶ強気相場はその後も続いた。