2023年10月からインボイス制度が始まります。「増税ではないか?」「経理の手間が増え、負担が増大する」など、さまざまな意見が出ています。そのインボイス制度の影響を強く受けるのが「ひとり社長」です。しかし、業種・業態・売上規模によっては、「インボイスに登録しないほうがいい」と提案できるケースもあり、戦略的な選択が求められる制度ともいえるのです。
本連載は、経費精算から決算・申告まで、ひとり社長の経理の基本を学ぶものです。著者は、税理士の井ノ上陽一氏。インボイス制度、電子帳簿保存法に完全対応の『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』の著者でもあります(発売は8月2日)。「ひとり社長なら、経理はこれだけでいい!」とポイントをおさえた1冊になっています。
インボイスの番号はいつから入れればいい?
「インボイスの番号はいつから入れればいいですか? 10月の売上? それとも10月入金分から?」
こうした質問をとても多くいただきます。
インボイスは、2023年10月1日からスタートします。請求書を所定の形式にし、インボイスの番号を入れなければいけません。
では、インボイスに登録した場合、いつからその番号を入れればいいのでしょうか?
そのタイミングは取引先次第で変わります。取引先が消費税の原則課税で計算している場合で、その取引先がいつ仕入にするか、経費にするかで変わるのです。
そのタイミングが2023年10月以降であれば、インボイスの番号が必要となります。通常であれば、こちらが10月に出した請求書から必要となる可能性が高いです。
9月に出す請求書、つまり9月に発生した取引だと、請求書にインボイスの番号がなくてもかまわないということになります。
結論としては、「いつの売上か?」「入金はいつか?」はあまり気にせず、「10月以降に出す請求書には必ず入れる」と覚えておいてください。
なお、10月以前の請求書にインボイスの番号を入れることもできます。もしインボイスに登録していれば、今のうちに入れておくのもいいでしょう。
(本原稿は井ノ上陽一著『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』から一部抜粋・追加加筆したものです)