個人も企業も大混乱! インボイス&改正電帳法の落とし穴 #4Photo:HATICE GOCMEN/gettyimages

インボイスの発行事業者になることを検討しているけれど、どこから始めればいいの?免税事業者にとっては初めて尽くしの消費税の納税義務。特集『個人も企業も大混乱! インボイス&改正電帳法の落とし穴』(全15回)の#4では、よくある五つの疑問に税の専門家が分かりやすく答えていく。(税理士 吉澤 大)

『2時間で丸わかり インボイスと消費税の基本を学ぶ』(かんき出版)から要旨を抜粋しています。

Q1「インボイスを発行できる『適格請求書発行事業者』になるにはどうすればいいの?」

2時間で丸わかり インボイスと消費税の基本を学ぶ『2時間で丸わかり インボイスと消費税の基本を学ぶ』(かんき出版)

A1 適格請求書発行事業者(適格事業者)になるには消費税を納税する「課税事業者」でなければなりません。しかし、課税事業者だからといってその全てが適格事業者になるわけではありません。課税事業者が適格事業者になるには、自分で納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書(登録申請書)」を提出して登録を受ける必要があるのです。

 登録申請書の提出から登録まではおおむね1カ月半程度の時間を要する、と国税庁はアナウンスしています。国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用して提出すれば3週間程度に期間を短縮できます。また、2022年末に発表された与党税制改正大綱では「23年10月以降に適格事業者の登録を受けようとする者は、登録申請書に提出する日から15日以降の日を登録希望日として記載すると、希望の日に登録を受けたものと見なす」とされています。

 適格事業者の登録申請は21年10月1日からすでに開始されています。インボイス制度が開始される23年10月から適格事業者になるには、23年3月末までの登録が必要です。ただし、程度を問わず困難な事情があれば、23年9月末まででも構わないとされていたところ、23年度税制改正大綱では、その困難な事情の記載すら不要とされました。

 ちなみに、適格事業者の登録番号をインボイス制度が始まる23年9月30日以前の請求書・領収書に記載をしても特に問題はありません。レジや請求書発行システムに早めに設定をしておいた方がよいでしょう。

 次ページでも「適格事業者をやめるには?」「仕入明細書はインボイスの代わりになる?」など、「今さら聞けないインボイスの疑問」を解説していきます。