PHEVは静かなクルマでもある。HEVは比較的頻繁にエンジンが始動し、やや騒々しく感じられる。PHEVは元々エンジンがかかりにくいのが美点。加えて、静粛性自体も入念に対策されているようだ。
絶対的なパフォーマンスはスポーティカーレベル。アクセルを踏み込んだときの加速フィールは爽快で気持ちいい。さすがは0→100km/h加速が6.7秒と、7秒を切っているだけのことはある。従来型のPHEVが11秒を超えていたのとは大違いだ。HEVも2Lになりなかなかだと感じていたが、0.8秒も速い(2WD比)のだ。その差は明確である。
ただし、初期の加速はHEVの2WDもけっこう鋭い。さらには、バッテリーの力を前後のモーターに配分するHEVの4WDはもっと速いと感じる。PHEVの本領は動き出しではなく、加速の伸びやかさ。アクセルの踏み込みにリニアに応え、力強く、どこまでもスピードが上昇する感覚がある。
ブレーキも好印象だ。従来の蓄圧タイプからリニアにブレーキ油圧を増圧できるオンデマンド加圧タイプに変更した効果で、自然なフィーリングになっている。それは新旧を乗り比べると明白だ。おかげでアクセルとブレーキのペダル操作感が統一され、違和感なく踏み替えることができる。
PHEVは回生ブレーキの強さが3段階から選べるのがHEVとの違いだが、設定変更にはセンターディスプレイで操作する必要がある。せっかくの機能なのだから、簡単に変更できるほうがいい。
速さだけでなくフットワークもスポーティ
新型は“ドライビングの歓び”を実感する
HEVでも感心したフットワークには、磨きがかかっていた。操縦安定性の高さは特筆レベル。車重の重いPHEVでも好印象はそのままだ。より高い剛性を得た第2世代のTNGAプラットフォームとサスペンション、エアロダイナミクスの最適化をはじめ、駆動用バッテリー搭載位置を従来のトランク下からリアシート下に移動したことなどの相乗効果に違いない。
洗練された乗り味はHEV以上。HEVの2WDはリアが軽いため荒れた路面では若干ばたつく印象がある。PHEVはその感覚が小さい。一段とフラットな乗り味になっている。PHEVは重量増に対応して、とくにリアの足回りを強化。その調節具合がちょうどいい。
正確なライントレース性を実現したハンドリングにもあらためて感心した。切る側だけでなく戻す側もイメージしたとおりきれいに動く。無駄な挙動が出にくく、修正舵を要するシーンは少ない。加えて電動パワーステアリングのチューニングが巧い。イナーシャやフリクションを感じず、操舵力は重くなく軽すぎずない。切り始めからリニアに動き気持ちいい。