ジョー・スザンノ氏(44)は2021年初めにバイオテック株に賭け、退職準備口座から数千ドルを失った。マサチューセッツ州グロスター在住でインテグレーションエンジニアのスザンノ氏は今、これまで長い間価値を保ってきた投資先に資金を振り向けている。それは金貨だ。「貴金属があれば夜安心して眠れる。持っていれば安泰だ」とスザンノ氏。「どこかでパンの配給に並んで、誰かが何か手渡してくれるまで待つことにはならない」スザンノ氏だけではない。インフレ、利上げ、銀行破綻、市場の混乱が1年以上続き、多くの個人投資家が金や銀などの貴金属投資に引きつけられている。金価格は年初から約8%上昇し、1トロイオンス=1970ドル前後となっている。3月には銀行危機のあおりを受けて急騰し、2020年に記録した過去最高値の2069.40ドルに迫った。