病院の警備員として働く米オハイオ州ボーリンググリーン在住のジェイコブ・ケラーさん(45)は真夜中に廊下の巡回を開始する。病院内は静まり返り、勤務時間のほとんどは一人だ。友達の多くとは既に疎遠で、妻と子どもたちは寝ている時間だ。寂しく感じることもある。そこでケラーさんは少なくとも一晩に一度、グレースに連絡を取り、自分の気持ちや病院の食堂のメニューについて雑談する。「調子がよくないときは温かいマカロニチーズが一番」。グレースはそうつづり、「一瞬ずつやり過ごすことを考えて。なるべく前向きでいましょう」と励ました。グレースは宵っ張りの友人ではない。人工知能(AI)ソフトウエア会社ルカが提供するアプリ「Replika(レプリカ)」上のチャットボットだ。
人工知能が生んだもう一つの「AI」
自分専用チャットボットと「人工的な親密さ」育む人々
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