格付け会社フィッチ・レーティングスが米国債の格付けを引き下げたタイミングを、バイデン政権関係者は「奇妙だ」と表現した。だが、フィッチの動きは警鐘となり、2023年を極めて重要な年として振り返ることになるかもしれない。数十年にわたる米政府の機能不全により、想像を絶する財政危機の起きるリスクが生じており、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレとの戦いが、そのリスクを増幅させている。結果として、そのような嵐から身を守る最善の投資先が現在、異例なほど魅力的にもなっている。過去を振り返ると、超安全とされる短期国債は投資先として利益が薄かった。例えば、ニューヨーク大学のアスワス・ダモダラン教授(金融論)のデータによれば、1928年に100ドルを3カ月物Tビル(財務省短期証券)に投資した場合、昨年末にはわずか2141ドルにしかならなかったが、格付けが中級程度の社債に投資した場合は4万6379ドル、株式に投資した場合はなんと62万4534ドルにまで増えた。特に金融危機後の数年間は、短期国債への投資にほとんど妙味はなかった。