問題は、冷蔵庫を稼働させる動力源です。ワクチンは冷蔵して保管しないと、効果が失われてしまいます。ラクダには、バッテリーなどの電源がありません。
さて、どうするか?
思いついたのが、安価で環境にやさしく、すぐ調達できる「ソーラーパネル」でした。冷蔵庫にソーラーパネルを設置すれば、ラクダが移動している間に太陽光から電力を得ることができて、まさに一石二鳥です。
こうして「低コストで安全・確実に」ワクチンを運搬することを実現したのです。
すでにあるものを組み合わせて
新しい価値を生み出す
「ラクダ冷蔵庫」は、それまで誰も考えつかなかった斬新なアイデアの賜物です。
でも、その元になっている「ラクダ」「冷蔵庫」「ソーラーパネル」自体は、アフリカの人たちにとって、どれもごく普通で身近なものばかりです。
つまり、アイデアというのは、「すでにあるもの」から必ず生まれるということです。「すでにある」は、「現場にある」と言い換えるとわかりやすいでしょう。
そもそも、この世の中に、ゼロから生み出されたアイデアなど存在しません。
「すでにあるもの同士を組み合わせることで、新しい価値があるものへと生まれ変わらせる――」
それこそが、アイデアの本質であり、アイデアをお金に変える秘訣です。