『新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』の取材で見えた企画テクニックを紹介する短期連載。第3回目となる今回は、企画書はシンプルが一番というお話だ。大切なのは「この企画書で何を伝えたいのか」を明確にし、それを簡潔に伝えること。実際にヒットした商品の企画書では、例外なくそれが実現されている。
伝わるのが80%でも120%でも
ダメ企画書
企画書は、企業や個人によって作り方や体裁が異なる。企業ごとに独自の文化があるケースも多く、ひたすら文字ばかりのスライドを作っている会社も少なくない。また、プレゼンで自分がしゃべることを企画書に全部書き込んでいるような人もいる。
1963年東京生まれ。ビジネス書作家、コンサルタント。株式会社アバンギャルド、有限会社戸田覚事務所代表取締役。ハイテク、パソコン、成功する営業のコツ、新商品開発、新事業開発といったテーマを中心に、執筆、出版プロデュース、講演、コンサルティングに携わる。ビジネス誌、パソコン誌、情報関連雑誌をはじめとして多数の連載を抱える。著書に『あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』『プレゼンの極意を盗め!』(以上、ダイヤモンド社)、『すごい人のすごい企画書』(PHP研究所)、『仕事で使える!クラウド超入門』(青春出版社)、『LinkedIn人脈活用術』(東洋経済新報社)など多数がある。
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そんな体裁はともかく、成功した企画書は意外にシンプルで、ほぼすべてに共通点がある。それは「伝える」ことに徹しているという点だ。連載第1回でも書いたように、企画書とはジャッジしてもらうための資料である。そのためには、自分が考えている企画の内容を100%伝えなければならない。
考えていることが80%しか伝わらないのは、当然「ダメ企画書」だ。また、勘違いしている人が多いのだが、120%伝わってしまうのも実は「ダメ企画書」なのである。いわゆる“うまい話”のような書き方をして、ジャッジを通過しても、結果が伴わなければあなたの信頼は著しく損なわれる。過剰に伝えるのも問題ということだ。
企画書の目的は、内容を100%伝えることで間違いない。そのうえで重要なのは、当然ながら「何を伝えるか」である。『新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』の取材でも、すべてのケースで「この企画書で一番のポイントとして伝えたかったのはどの部分ですか?」という質問をしている。
ヒット商品の企画担当者はどなたも明確に「この部分です」と、キーになる部分を指さしてくださった。成功した企画書に共通するのは、何が重要かが明確になっているということだ。言うまでもないが、伝えたいことが明確でない企画書など受け入れられるはずがない。