トヨタ四半期利益が1兆円超でも
不安を抱える中国事業
「トヨタ、四半期ベースで初の1兆円超の利益確保」の見出しがメディア各社で躍ったように、今期(2023年度)の第1四半期(4~6月)では、トヨタが1兆3113億円(前期比78.0%増)もの純利益を計上、さらには乗用車系7社(トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、スバル、マツダ、三菱自)合計の純利益は前期比87%増と業界全体で大幅な業績好転を示した。
これは、コロナ禍と半導体の供給不足による生産の遅れで苦しんだ前期(22年度)から一転、半導体不足の緩和で生産回復が進んだことや北米での日本車販売が伸びたことに加えて、円安の進行が追い風となったことが要因だ。
しかし一方で、世界最大の市場である中国では新エネルギー車(NEV=BEV・PHEV・FCEVの総称)を巡る競争が激化し、日系各社ともに販売が大きく低迷した。
22年の中国新車販売は、全体で2686万4000台と前年比2.1%増だったが、このうちNEVは688万7000台で前年比2倍と急伸長し、全体の25.6%を占めた。このトレンドは23年に入ってさらに拍車がかかり、NEVを巡る販売合戦(値引き競争)のあおりを受けて日系各社の苦戦が表面化した。