翌朝、留美さんが起きると、夫はいつもより早く出かけたようで既にいませんでした。
離婚することになれば、多くの準備や対応が必要です。
弁護士の選定、裁判に向けての準備、子どもの親権、慰謝料・養育費の獲得、財産分与などなど、多くの重要な問題が絡み合います。
離婚後は新たな環境での生活や、仕事探しや、子どもや親への対応、役所でのさまざまな手続きなど、煩雑な手続きや慣れない環境への対応によって、多大なストレスを抱える可能性も高くなります。
留美さんはそれらのことをインターネットで調べるにつれて、離婚するかもしれないという現実に不安が募りました。
その後、何日もかけて説得したり、ののしり合ったり、懇願したりしましたが、夫の考えは変わりませんでした。しかし、すぐに離婚を進めるわけではなく、お互い時間をかけて考えてみようということになりました。どのくらいの時間をかけるかは分かりませんが、留美さんは夫の考えが変わることにかけ、これまでよりも明るく優しく接することを心掛けました。
ところがある日、夫がお風呂に入っている間に、たまたま夫のスマホにメッセージの通知がきている画面を見たのです。そこには「美憂」という名前の表示がありました。これまでは夫を疑ったことは一度もありませんでしたが、留美さんは夫の浮気を確信しました。
不倫の証拠を抑えるも
すぐに離婚はしない選択
こうして私は、留美さんからの相談を受けました。法的手続きで有利な立場を築くために、客観的な不貞の証拠を切り札として手に入れておきたいというご希望でした。今後の子どもとの生活を豊かにするためには、有利な条件での離婚が望ましいことは誰しもが思うことです。
調査の結果、2回目に不貞の証拠を取ることができました。
不貞の証拠をまとめた報告書を見た留美さんは、とても傷ついていました。
冷静になった留美さんは、夫から再度離婚話を切り出された時の切り札とするため、この証拠を大事にしまっておくとのことで調査は終了しました。