調査をしてみると、礼美さんのにらんだ通りの女性と不倫関係にありました。その調査報告を礼美さんはなかなか見ることができませんでした。頭では分かっていても感情が追いつかないようでした。
夫の浮気を本当に許せるのか?本当にやり直せるのか?怒りや不安な心情を深夜まで電話で聞いたこともありました。数日して冷静に捉えられるようになった礼美さんは、夫に切り札を見せて全て話しました。その結果、胸の内をさらけ出しあってお互いの大切さを認め合い、以前よりも仲が深まったそうです。礼美さんの「本当に次はないから」という言葉を重く受け止めた夫は、礼美さんのことを大事にするようになりました。
これはまれなケースだとは思いますが、事実としてあった案件でした。
新たな人生を送るために
不倫調査を依頼するケースも
意外と多いのが、中高年が結婚生活に終止符を打ち、新たな人生を歩むための準備で不貞調査をするケースです。
よくある相談内容が、現在のパートナーとの結婚生活が冷え切ったもので、家庭内ではほとんど会話がなく、ただの同居人状態。子どもも巣立ち生活に張りが感じられず、自分はなんのために生きているんだろう?これからずっとこのままなのだろうか?こんな楽しくない日々を過ごしているのは私だけなのだろうか?という日々のなかで、ふとパートナーに不貞のにおいがしてきた時、感じていた虚無感が怒りに変わり、こんな薄暗い結婚生活にピリオドを打ちたいというものです。
不貞の証拠を得たあかつきには、離婚にまつわることを手早く済ませて、自分が伸び伸びできる生活を手に入れることを最優先とするため、調査費用に糸目をつけずできるだけ早く進めてほしいとの要望が多いのも特徴です。
一方で、新たなパートナー候補の浮気調査をしてくれないか?というものもありました。
専業主婦の伊藤まきさん(44歳、女性)は、友達探しのアプリで知り合い、山登りが共通の趣味であることがきっかけで仲良くなった独身の尾長かすみさん(49歳、女性)とメッセージや電話を重ねるうちに、急激に仲良くなっていきました。実際に会って食事をしたり、山登りをしたりするうちに、さらに親密度は深まっていきました。
しかし半年ほどして、かすみさんからの返事が遅かったり、連絡が取れなくなったりすることが数日にわたって起きるようになりました。心配に思ったまきさんが理由を尋ねると、かすみさんはステージ3のがんが見つかって、治療や入院を繰り返している状況でした。