絞りに絞った家計から年に一度の旅行をやりくりするわけですし、高級旅館に泊まれないほうが多いでしょう。しかし、小学生の子どもと海に行った記憶は値段やサービスの質以上に輝いて残ります。
ある意味、人生の酸いも甘いも噛み分けてしまったからこそ、年金生活者のお金の使い方は難しくなります。若い人と同じお金の使い方では満足や幸福を感じにくくなっているからです。
だからといって、お金を貯め込んで死んでも、預金通帳の残高が最後の瞬間を幸せにしてくれるわけではありません。たくさんの幸せな経験、人間関係の積み重ねが、最後に目をつぶる瞬間にあなたの頭をよぎったのであれば、それこそが、幸せな人生だったといえるのではないでしょうか。
ウェルビーイングをお金で買い集める、というくらいの発想を持っていいのです。
「孫に会いたいから庭にバーベキューできる道具を買って用意した」「残された時間で、まだ一度も見たことがない風景を見たいから、国内の世界遺産めぐりをしよう」でいいのです。
繰り返しになりますが、ちゃんと満足や感動が得られれば、そのお金はムダではありません。お金を気持ちよく使って幸せを集めてみてください。