コロナ禍、原材料の高騰などの環境変化に伴い、地域金融機関の取引先が抱えている課題も、より複雑化している。そうしたなか、取引先の事業承継や地域を越えた事業展開に伴い、LBOファイナンスのニーズは年々高まってきた。一方で地域金融機関にとっては、PEファンドなどによる買収を契機として、従前の取引がある日突然失われるという状況が発生している。本稿では、こうした状況に対処するきらぼし銀行の取り組みをコーポレートローン、LBOローンそれぞれの切り口で紹介したい。
きらぼし銀行が重視する「メイン化」の取り組み
きらぼし銀行は2018年5月に、旧東京都民銀行、旧八千代銀行、旧新銀行東京の3行が合併して誕生した。東京に本店を構える地方銀行であり、東京、神奈川北東部を中心とした首都圏に顧客基盤を有する。
当行は東京を起点とする豊富なファイナンス機会に恵まれており、PE(プライベートエクイティー)ファンドやアドバイザリー会社など、専門家や外部機関とのネットワークが強い。また、グループ会社にエクイティー投資が可能なキャピタル会社や、M&Aに取り組むコンサルティング会社を有している。
当行は取引先との関係において「メイン化」を重視している。これは、ただ単に融資残高のシェアトップを目指すものではない。企業の経営課題を捉えて伴走支援し、金融・非金融を問わずソリューション提供する取り組みを指している。