インターネット金融大手のSBIホールディングスが打ち出した「第4のメガバンク構想」。2019年以降、地方銀行9行と資本業務提携を結ぶ「地銀連合」を結成したが、その構想自体が瓦解の危機にある。各行はSBIに資金運用を任せ、結果的に外国債券の含み損拡大で窮地に追い込まれている。特集『銀行・信金・信組 最後の審判』(全16回)の#1は、SBIという“黒船”が地銀界にもたらした功罪を解明する。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
島根、きらやか、福島、筑波、清水…
SBI系地銀が外債含み損拡大で“瀕死”に
「このままでは“再生”どころか、“瀕死”の状態になる」
金融セクターのアナリストがそう声を潜めるのは、インターネット金融大手SBIホールディングスが出資する地方銀行についてである。SBIは2019年以降、“地銀再生プロジェクト”と銘打ち、島根銀行、福島銀行、筑邦銀行、清水銀行、東和銀行、きらやか銀行、仙台銀行、筑波銀行、大光銀行の各行と資本業務提携を相次いで結んできた。
多くの市場関係者が懸念するのは、これら地銀で膨らむ外国債券の含み損だ。米国など海外の金利急上昇に伴い、外債の時価が急落。経営に深刻な影響を及ぼしかねない事態に直面しているのだ。
次ページからその実態と共に、SBIという黒船が地銀界にもたらした功罪を検証する。