インドメーカーも一応は
ニセモノを作っているが…
ただ、ニセモノを生み出す作業は意外と難しい。低価格な部品が調達できて、一目見てニセモノとわかるデザインでなければ、ニセモノにすらならない。だから、実は高い技術力が求められる。
この点について、インド企業はニセモノを作るには作るが、その完成度が中国よりも大きく劣る。読者の皆さんは「ニセモノを作れなくても、高品質なオリジナル製品があればいいじゃないか」と思うかもしれないが、機会があれば製品そのものを見てほしい。インド圏にいる日本人は日頃からインド製品に触れているが、そのクオリティーは眉唾だ。
次に競争だ。有象無象の企業と書いたように、中国では黎明期に無数のスマホメーカーが立ち上がり、国内で激しく競い合ったことで、最後に世界的なレベルの企業が勝ち残った。
このことは、海外で受け入れられる価格競争力と技術力を磨く上で非常に大きかった。競争がなければ、安くて高品質な製品が生まれないのは日本を振り返ってもわかるだろう。
一方で、インドでは国内メーカー同士の競争があまりない。競争があれば各社が工夫を凝らし、もっといい製品ができるのではないかと思う。
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読者の皆さんはあまりイメージがつかないかもしれないが、インドのスマホメーカーには「Micromax」「Lava」「Reliance Jio」などがある。
最近はReliance Jioが出している、スマホとフィーチャーフォン(従来型携帯電話)の中間のような製品「Jio Phone」がそこそこ売れている。この携帯電話は「KAI OS」というOS搭載で、専用アプリを入れられて動画もSNSも一応見られる。
だが、こうした製品は、現状のままでは中国メーカーと競合するほどのレベルではない。愛国心に訴えて製品アピールを行う企業もあるが、インターネット上の商品レビューには「愛国心をあおるだけで製品はだめだ」と冷ややかな投稿をするユーザーもいる。
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これはインドに限った話ではない。かつて日本企業が席巻した中国デジカメ市場では、愛国心に訴えた中国メーカーのデジカメ製品がまるで相手にされなかったことがある。やはり品質が良い上で安くないと認められない。