本日(9月1日)付で決行される、そごう・西武の売却が話題です。スト決行も注目を集めましたが、この問題の本質は、セブン&アイの経営問題にあります。「モノ言う株主から逃げてしまえ」と言うセブン&アイの“逃げ得”戦略なのです。しかし、本当に逃げ切れるでしょうか?実はこの売却計画には、二つの盲点があります。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
そごう・西武騒動の本質は
セブン&アイの経営問題にある
セブン&アイ・ホールディングス(HD)とそごう・西武百貨店労組の間のせめぎ合いが、ギリギリのところで行われています。そごう・西武百貨店労組は7月に組合員投票でスト権を確立したうえで、8月31日に西武百貨店池袋本店でストを決行しました。
日本では61年ぶりの百貨店のストという誰も予測できない事態に進行したことで、ここ数日はストの影響についての報道が繰り返されました。私もメディアで西武百貨店がどうなるのかについてコメントする機会が増えていたのですが、実は、この問題の本丸はセブン&アイHDが抱えてきた経営問題にあります。
同日セブン&アイHDは臨時の取締役会を開催し、本日9月1日にそごう・西武を売却することを決めました。
「もしそごう・西武が売却できなければ、セブン&アイの井阪隆一代表取締役社長の再任はない」。セブン&アイ側がこのような瀬戸際に追い込まれているのが、今回の騒動の本質です。
だからこそ、セブンはさまざまなステークホルダーを敵に回してもそごう・西武の売却に突き進んでいます。そこで、今回の記事では、「そもそもなぜ、こんなことになってしまったのだろうか?」という視点でセブン&アイの経営問題について解説したいと思います。