「100億円あげちゃうキャンペーン」で一世を風靡し、“一番人気のあるキャッシュレス決済”の地位を確立したPayPay。一方で、相次ぐサービス変更が不評です。実は今回の「改悪」の背景には、ビジネスモデル上の欠陥があるのです。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
PayPayの改悪方針には
「ウラ」がある
今、キャッシュレス決済で圧倒的に使われているのはPayPayです。2022年度のPayPayの決済取扱高は7.9兆円。PayPay株式会社の発表によると、これは国内のコード決済取扱高の約3分の2のシェアを占めます。
そのPayPayが今年5月、二つの改悪方針を発表したとしてユーザーの間で大騒ぎになりました。一つは、他社クレジットカードからのチャージができなくなること。もう一つは、ソフトバンクの携帯電話の使用料とまとめて支払うサービスに、今まで不要だった手数料がかかるようにすることです。
この方針発表後、ユーザーからの反対の声がたくさん上がり、他社クレジットカード利用停止については発表の2カ月後に実施延期が発表されました。一方で「まとめて支払い」については9月1日から、「その月の2回目以降のチャージには2.5%の手数料」がかかります。
他社クレジットの延期についてもあくまで延期であって、現段階では25年1月に実施される予定です。
この発表を受けて、PayPay離れが危惧されています。クレジットカードについての方針が延期されたのは、これを強行すると、ユーザーのPayPay離れが間違いなく起きるだろうと予想されたからです。一方で延期しただけという状況は、経営陣としてはいずれこの方針変更は実行に移さなければならないと考えているからに他なりません。
コード決済の世界に今何が起きているのでしょうか? そしてコード決済はどのような未来に向かうのでしょう? 状況をまとめてみます。