具体的には、一時所得の金額から50万円を引き、さらに2分の1した金額が、所得税の対象になります。結果として、増えた1000万円部分には少額の所得税の負担で済ますことができます。
では、もしも贈与をせず、父が契約者となって同じ保険に加入していた場合はどうでしょう?
この場合は、保険金は父の相続税の対象とされます。生命保険金のうち、500万円(法定相続人の数×500万円)までは非課税となりますが、それを超える部分は預金などと同じように相続税の計算に含まれます。
甲さんの場合、相続人が1人で遺産総額が3億円を超えてきますので、適用される相続税の最高税率は50%です。
結果として、増えた1000万円部分のうち、500万円は相続税として納めなければいけません。息子を契約者とした場合と比べて、非常に負担が重くなります。
被保険者の年齢が若ければ若いほど、大きなレバレッジを生む生命保険に加入することができます。2024年以降は、相続時精算課税制度と生命保険をうまく組み合わせて、将来の相続税の納税資金を効率よく準備しましょう。
(本原稿は橘慶太著『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』から一部抜粋したものです)