職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
そんな悩みをズバッと解決する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんは、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介するプロです。この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「報連相への意欲をさらにかき立てる、とっておきの気づかい」の方法を紹介する。

若手や部下の「報連相してよかった!」という意欲をかき立てる「とっておきの方法」Photo: Adobe Stock

多くの組織が抱える悩みとは?

「報連相が徹底できないんです……」

 これは、多くの組織が抱える悩みのひとつではないでしょうか。

 研修講師の私も、毎年のように受ける相談です。

『気づかいの壁』という本の中では、「目的を伝える」「見える化させる」という、報連相(報告・連絡・相談)の定着のための気づかいをご紹介しています。

 今回は、報連相への意欲をさらにかき立てる、とっておきの気づかいをお伝えします。

「〇〇欲」をかき立てよう

 それは、報連相を受けたら、その後の経過や結果を本人にフィードバックすることです。

 たとえば、後輩や部下からトラブルの報告を受けたとしましょう。

「先週起きたトラブルなんだけど、昨日のリーダー会議で報告したんだよ。
 そうしたら、全リーダーから、各チームに注意喚起してもらうことになったよ」

 と、フィードバックをもらえたら、安心することができます。

 もらった連絡にしても、

「昨日外出中、チャットで知らせてくれた件だけど、あの後、先方にすぐにコールバックして解決できたよ。助かった。ありがとう」

 などと、伝えてみましょう。

 そうすると、相手にとっても「連絡した甲斐があった」という思いが生まれます。

 このように人が持つ欲求は、「貢献欲求」と呼びます。

 誰でも、生きている以上、人の役には立ちたいものです。だったら、この欲求を満たすようにしてみましょう。

 そうした気づかいをされた部下や後輩は、報連相が次第に習慣になっていきます。

 とっておきの方法ですので、ぜひ実践してみてください。

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。