時間を「投資」して
何を得たいのか考える
春香「たしかに。先生の言っていることはわかるんですけど……。たとえば今日は先生と約束したから時間を確保した、というのもありますよね。人と約束したから実行できたと思うんですよ。だから、自分1人で考えるためだけに、時間を事前に確保するかな……と考えると、確保できなかったかもしれません」
黒野「なるほど。ではなぜ、自分1人で考える時間は重要ではないのでしょうか?」
春香は考えるように天井を見上げた。
春香「そうですね。もっとほかにもやることがあるかもって考えるからです」
黒野「では、『自分の人生の時間を投資してどんな結果を得たいのか考える』より重要なこととは、何なんでしょうか?」
春香「えーと、仕事でやらないといけないこともありますし、1人暮らしなので家事も全部自分でやらないといけないし、友達とご飯に行ったりもしたいですし」
黒野「そういう時は、『自分の人生の時間で何を得たいのかを考えるより、仕事や家事をすることのほうが自分は大切である』でいいのか、と考えてみるのはどうでしょうか? 何が大切かがわかると時間も確保しやすくなるのですよ」
しばし沈黙が流れた。春香はまだ考えている。
黒野「シンプルに考えてみましょう。ちょっとした復習も入っていますよ」
(1)わたしたちは、毎日24時間を何かしらに投資している
(2)時間投資をムダにしたくないなら、結果につながる「投資先」をどれにするか、しっかりと考えなければいけない
(3)何に時間を投資すべきかは、得たい結果がわからないと、わからない
黒野「つまり、自分が時間を投資して、得たい結果は何なのかを決めない限り、毎日の24時間の投資は『目の前のやらないといけないこと』や『娯楽』のみに流れていってしまうことになるわけです」
春香「たしかに、何も考えていないと、人の噂話やグチばかりの本当は参加したくない飲み会に断れなくて参加してしまったり、それほどおもしろくないネットマンガをずっと見ちゃうこともありました……」
黒野「でしょう。そんな時に忘れてはいけないのが、『毎日の24時間は命の残り時間である』ということですよ」
星渉 著
春香「命の残り時間なんて、大げさですね」
黒野「人間の命は、終りが来ると決まっています。『時間が経過する』とは、『命の残り時間が減っている』ということなのですよ」
春香「そう言われると、ムダな時間の使い方はしたくないって、無性に思えてきました……。たしかに『忙しくて時間が確保できない』は言い訳ですね。目の前のことしか考えてなくて、真剣に命の使い方を考えていなかったことに気がつきました。丁寧に図まで書いてくださり、ありがとうございます」
黒野「いえいえ、ではさっそく時間貯金をしようではありませんか!青井さんが今、自分の時間を投資してどんな結果を得たいのか考える時間の確保です」
春香はスマホのスケジューラーを開き、『自分がどんな結果を得たいのかを考える』と時間を確保した。
・時間は先に確保しろ。
・毎日の24時間はあなたの命の残り時間だ。