VIVANTで注目「本物のスパイ」がショッピングモールに行く理由スパイはの生活はいたって普通であり、私生活ではお台場などでショッピングをしたりするが、自身がスパイ活動に従事する際は、捜査機関の尾行を警戒し、ショッピングモールで多くの人に紛れ込んだり、人気のない公園を歩いて尾行を確認したりする(写真はイメージです) Photo:PIXTA

読者の身近にも
存在するスパイ

 TBS日曜劇場「VIVANT」では、登場人物の誰が“敵”か“味方”か判別がつかず、さながらスパイの諜報戦のような駆け引きが描かれており、スパイに対する関心が高まっている。これを機に、是非ともスパイへの危機意識を高めて頂きたい。

 そもそもスパイとは、最古の職業といわれ、古くは古代エジプト時代までさかのぼる。

 また、旧約聖書の中で預言者モーセが「カナンの地の人口、治安、軍勢、土地」などの情報を収集するようにと、12人のスパイをカナンへ派遣したという話もある。

 そして、第2次世界大戦時には、ホワイトハウスにソ連のスパイが送り込まれた。財務長官補佐官や財務次官補などの“側近”がソ連のスパイであり、ルーズベルト政権は、ソ連のスパイたちによって乗っ取られていたことが、第2次世界大戦前後のソ連の暗号を傍受・解読した記録である「ヴェノナ文書」で明らかになっている。

 筆者が企業などに対しスパイについて研修をする際、必ず次のように聞かれる。

「私たちの近くにスパイなんているのですか?」

 断言しておく。スパイは当然のように存在している。そして、皆さんの生活に極めて近い距離にいる。

 官民でスパイ捜査・調査に従事・指揮した筆者の経験から、日本で活動するスパイについてその概観を解説する。