読者の身近にも
存在するスパイ
TBS日曜劇場「VIVANT」では、登場人物の誰が“敵”か“味方”か判別がつかず、さながらスパイの諜報戦のような駆け引きが描かれており、スパイに対する関心が高まっている。これを機に、是非ともスパイへの危機意識を高めて頂きたい。
そもそもスパイとは、最古の職業といわれ、古くは古代エジプト時代までさかのぼる。
また、旧約聖書の中で預言者モーセが「カナンの地の人口、治安、軍勢、土地」などの情報を収集するようにと、12人のスパイをカナンへ派遣したという話もある。
そして、第2次世界大戦時には、ホワイトハウスにソ連のスパイが送り込まれた。財務長官補佐官や財務次官補などの“側近”がソ連のスパイであり、ルーズベルト政権は、ソ連のスパイたちによって乗っ取られていたことが、第2次世界大戦前後のソ連の暗号を傍受・解読した記録である「ヴェノナ文書」で明らかになっている。
筆者が企業などに対しスパイについて研修をする際、必ず次のように聞かれる。
「私たちの近くにスパイなんているのですか?」
断言しておく。スパイは当然のように存在している。そして、皆さんの生活に極めて近い距離にいる。
官民でスパイ捜査・調査に従事・指揮した筆者の経験から、日本で活動するスパイについてその概観を解説する。