自衛隊に入ってもらわないと困る
「日本スゴイ」演説で確信

 実は自衛隊は深刻な「定員割れ」が続いている。理由は言わずもがな少子高齢化だ。

 18年に採用年齢を26歳から32歳で年齢を引き上げるなど、なんとか対応をしているが、このままいけば国防の現場で深刻な「人手不足」が起きる恐れが高い。

 なぜかというと、自衛隊に関しては日本政府が大好きな「外国人労働者の受け入れ拡大」が使えないからだ。

 となると、この「日本の危機」を回避する方法はひとつしかない。若い世代にどしどし自衛隊に入っていただくのである。といっても、日本は韓国のような徴兵制は難しいので、あくまで自発的に入隊希望をしてもらわなくてはいけない。

 つまり、子どもたちの将来の夢を尋ねたら、「大谷翔平」や「ユーチューバー」と並んで、「自衛隊に入って日本を敵から守ります」なんて言葉が出るような世の中にしなくては、日本の安全保障体制は足元から崩壊する恐れもあるのだ。

 そこでこの「日本の危機」を回避するために『VIVANT』はつくられたのではないか――。このドラマが放映され始めた時、そんな考察をして1人で楽しんでいたのだが、最終回のあのベキの「日本スゴイ」演説を聞いて、疑惑が確信に変わった。

 あの言説は、日本で戦前から続いている典型的な「愛国プロパガンダ」だからだ。

「世界を裏で支配しているのはユダヤ民族だ」というナチスドイツのプロパガンダがわかりやすいが、プロパガンダとはそれらしい断片的なエピソードを集めて「自分がそう思う」というストーリーを作り上げて広めることだ。なので、「客観的な事実」ではない。