頑張っても成果が出ない」「思うように考えがまとまらない」「他人からいつも評価されない」と悩む方は多くいます。その悩みを解決するために「個人のセンス」も「やみくもな努力」も必要ありません。人に認められている「優れた考え」から自分の脳内に「再現性のある回路」をつくればいいのです。『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』の著者、クリエイティブディレクター中川諒氏による「いつも結果を出す人」の秘伝の思考技術を紹介します。

「頭がいいのに思考停止してしまう人」の悪いクセPhoto: Adobe Stock

高い基準を求めなくていい。大切なのは自分のスタンス

広告業界に「ビッグアイデア」という言葉があります。

それは鮮やかな一手で問題を解決するアイデア。毎年広告賞を受賞する仕事にはこのようなアイデアが並びます。

この言葉の大きな功績は、アイデアや閃きがわたしたち広告業界の人たちがもつ魔法のように見せることで、業界そのものの価値を高め、わたしたちを鼓舞してきたことにあります。

しかし一方で、ビッグに満たないアイデアをすべて「スモール」にしてしまったことで、わたしたちを苦しめているという側面もあります。

広告代理店のクリエーターの仕事をひとことで言うと、アイデアを売る仕事です。

基本的には外部のプロフェッショナルの人たちと一緒に、映像やグラフィックなど最終的な広告制作物をつくっていきます。

もちろん最近では、自分で映像監督まで行う人やプログラミングをする人もいますが、それは極めて稀です。

わたしたちを何かのプロと定義するならば、プロジェクトの核となるアイデアを考えるプロなのです。

そんな仕事でご飯を食べてきたわたしが、勇気を出して改めて言いましょう。

アイデアは誰でも出すことができます。

それでもまだ「アイデアが出ない」と言う人は、「ビッグなアイデア」を期待しすぎているのだと思います。ビッグに満たないアイデアをドバドバと捨ててしまっているのです。

捨てる以前に、拾ってすらいません。

アイデアの価値は、ビッグやスモールなどサイズで表すことはできないとわたしは思います。

アイデアの段階では、どのアイデアも価値は同じです。

アイデアの電球はどんな大きさでも、カタチでもいい。

その価値が変わるのは、世の中に実装されてからです。つまりそのアイデアの電球が、世の中を照らす光を帯びた瞬間にはじめて価値が生まれます。

最もよくないのは自分の「ビッグ」の基準に満たないアイデアを、アイデアと呼べなくなってしまうことです。
アイデアが出ないと感じる状態が続くと、アイデア出しが楽しくなくなってしまいます。

そしてさらにアイデアに対して、苦手意識が生まれるという負のスパイラルに陥ってしまうのです。

アイデアは自分だけがおもしろいと思っていてもいい。
自分のアイデアを大切にするためにも、そのスタンスを忘れないでいてください。

(本記事は中川諒著『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』から抜粋し、一部を改変・編集したものです)