自民党内の最大派閥「安倍派(清和政策研究会)」が、15人もの船頭を抱える集団指導体制に移行した。いったいなぜそんなことが起きたのか。森喜朗元首相に支配された、「迷走」としかいえない安倍派の現状を解説する。(イトモス研究所所長 小倉健一)
岸田首相の「誰にも嫌われたくない」人事で
安倍派の会長不在は続く
岸田文雄首相(自民党総裁)は、9月の内閣改造、党役員人事で、党内6派閥ごとの閣僚起用人数の配分を、改造前からほぼ維持した。「安倍派(清和政策研究会)」は閣僚4人を輩出するなど、最大派閥、そして岸田政権を支える主流派としての地位は確保できた。
事前には、派閥内で「会長」ポストが不在であることで岸田政権との交渉力が低下し、不遇の扱いを受けるのではないのかという懸念があった。しかし、今回の内閣改造を経て、「早急に会長を決めなくてはいけないという機運はますますなくなった」(安倍派中堅議員)のだという。
目下、安倍派の中では出世争いを「半歩リード」する萩生田光一氏(自民党・政務調査会長)を冷遇し、ライバルである西村康稔氏(経済産業相)を代わりに政調会長に据えるなど、政権からの嫌がらせはいくらでもできたはずだ。ところが、支持率低迷で来年の自民党総裁選挙を乗り越えることしか頭にない岸田首相が、ワラをもつかむ気持ちで誰にも嫌われたくない人事を行ったということだ。
それでは、日本を牛耳る「安倍派」を誰が掌握することになるのか、見ていこう。