一方、トクホ、すなわち特定保健用食品は、機能性表示食品と異なり、国が審査をしているはずのもの。有効性・安全性を消費者庁が個別に審査し、査読つきの研究雑誌に掲載されること、そして定められた試験機関によって関与成分の含有量の分析試験が行われることがトクホのマークを使う条件です。しかし、そんなトクホについても、機能性食品と同じような問題が起きているのです。
朽木誠一郎 著
2016年9月、消費者庁は制度開始以来、初めてトクホの販売許可を取り消しました。日本サプリメント社が「血糖値や血圧が高めな人に適した食品」として販売していた商品が、後から基準を満たしていないと判明したからです。同社には翌年、5471万円の課徴金納付命令が出されました。消費者庁によれば、同社が指定した分析方法が間違っていたり、発売後に成分の含有量が変わっていたりした可能性があるとのこと。健康食品やサプリに騙されなくなるためには、そもそも、「健康食品とはそういうものだ」という認識が必要不可欠です。
さて、私はここまでさも、わかったような顔をして、健康食品の問題点を指摘してきました。しかし先日ハッとした経験が。喉が渇いたのでコンビニに寄り、お茶を買って出ました。キャップを開けて一口、何の気なしにラベルを見ると……「体脂肪を減少させる」ことをうたうトクホのお茶を飲んでいたのです。このように、健康食品は上手に、私たちの生活に入り込み、マーケティングとして機能してしまっています。