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中国人と接すると、「なぜこんなに自己主張が強いんだ」と面食らう日本人は多い。列に割り込む、意見を曲げないなどの姿を、我々はつい「自己中で変化を拒む」と受け止めてしまう。そう誤解してしまうのは、中国人の国民性が儒教の上に成り立っていることを知らないからだ。儒教の歴史を紐解いていくと、中国人の思考回路が見えてきた。※本稿は、早稲田大学教授の岡本隆司『教養としての「中国史」の読み方』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
いま読んでも違和感がない
春秋時代の「儒教」
儒教が生まれたのは、春秋時代。中国史の黎明期であるこの時代は、誰もが好きなことをいえる時代でした。
儒教のほかにも道家や墨家、法家や名家、兵家、陰陽家、雑家、農家などなど、後世からみると、いろいろな思想が、まるで雨後の筍のように生まれました。この時期に生まれた数多の思想は、「諸子百家」と総称されます。
そういう意味では、孔子(紀元前551ごろ~前479)の儒教も、そのうちの1つでしかなかったといえます。
しかし儒教が特別な思想であったのもまた事実です。なぜなら、儒教は諸子百家の中でも最古の思想の1つだと考えられ、ほかの有力思想も、多くは儒教を母体・源流にして生まれたといえるからです。
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