兵庫県神戸市にある有名進学校の灘高等学校で、大学生を招いた「性」に関する授業が行われた。これをSNS上で一部の大人たちがからかうという残念な事態が起きた。背景には、現在の成人たちが過去にまともな性教育を受けていないという事情があるのではないか。(フリーライター 鎌田和歌)
灘高の授業をからかう大人たち
「おっさん達がはしゃいで若者にセクハラして、マジみっともない。大人が高校生に迷惑をかけるな」
「未成年の男子に対してセクハラの数々…まじで最悪」
「端的にセクハラだしやめなよ恥ずかしい」
9月後半、X(旧ツイッター)上にこんな投稿が複数流れた。一体何があったのか。
発端は名門男子校の灘高等学校で、性的同意などを学ぶ授業が行われたことが報道されたことだった。(『「性的同意」ってなに?灘校生が甲南女子大生と学ぶ、生理の悩みとデートDV』 JBpress9月19日)
記事の執筆者は教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏で、記事内では灘校生と大学生がディスカッションを行い、お互いに学びがあった様子がつづられている。
しかしこの記事が配信されると、Xの一部で心ない声が上がった。成人していると思われる複数のユーザーたちが、下世話な言葉を使ってちゃかし始めたのだ。
インフルエンサーの田端信太郎氏は記事にある『2〜3歳、年上の「お姉さん」とだからこそ、性の話を議論しやすい』という画像キャプションの文章を抜き出し、《「2〜3歳、年上のお姉さんだからこそ」www》と、ネットスラングで「笑」を意味する「www」をつけた。
ただし、田端氏のようなからかいはまだ軽い方で、中には引用をはばかられるようなひわいな言葉による揶揄(やゆ)や、甲南女子大学と灘高との偏差値の違いをあげつらう投稿もある。
実際に授業を受けた灘高生だという人物たちが、このようなツイートを見つけ、「偏差値云々の話はどうでもいいですが、灘校生と関係のない大人の方々が、こちらが真面目に受けている授業を茶化して何が楽しいんでしょうか。」「この授業受けたものなんですけどなんなんですか?このきしょいツイートは?ほんでこんなもんに沢山いいねつけるなボケ」などと言い返している。
幼稚な精神性の大人と、そんな大人にあきれ返る高校生。その対比をあまりにもはっきりと確認することができた。