米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長は、自身にとっての巨大な白鯨であるネット小売り最大手アマゾン・ドット・コムにもりを撃ち込んだが、獲物を仕留めるのには(小説「白鯨」に登場する)エイハブよりも苦労するかもしれない。FTCは広範な調査を実施した後、26日に投票を行い、3対0の全会一致でアマゾンを連邦裁判所に提訴することを決めた。同社が低価格で迅速なサービスを提供しているというのが理由だ。カーン氏は2017年、「イエール・ロー・ジャーナル」誌に発表した「アマゾンの反トラストの逆説」という学術論文の中で、現代の反トラスト法(独禁法)における消費者福祉の基準は誤りだと主張していた。同氏によると、アマゾンは「搾取的な価格設定」によって競合他社を出し抜いているという。このため、カーン氏が今回、消費者への損害を理由にFTCの提訴を主導したのは皮肉なことだ。
【社説】FTC委員長のアマゾン提訴は根拠薄弱
市場独占を主張するが
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