米著名投資家のケン・フィッシャー氏は、米国の大統領任期2年目の9月末から翌年6月末まで、株式相場が歴史的に堅調なパフォーマンスをたたき出してきたことを「中間選挙の奇跡」と呼ぶ。では、来年11月に米大統領選を控える中、その「先のシナリオ」はどうなるのか。豊富なデータを基に、先行きを読み解いた。
まるで「奇跡」のような
世界的な株価上昇
あなたは奇跡を信じるか?信じるべきだ。TOPIX(東証株価指数)を含む世界中の株式は、ちょうどその恩恵を受けたところだ――そして、さらなる奇跡がこれからやってくるだろう。
約1年前の拙稿(『「米中間選挙の魔法」が日米に株高をもたらす、市場が米政治膠着を好むワケ』参照)において、私は世界株式が「スイートスポット」の時期に近づいたと述べた: 米国議会の「中間」選挙前後の非常に強気な9カ月間だ。
この期間――米国の大統領任期2年目の9月30日から翌年6月30日まで――は株式市場で、歴史的に最も一貫して利益が出る9カ月間だ。「史上で最も」だ。私はこれを「米中間選挙の奇跡」と呼んでいる。プラスリターンは世界中に波及する――日本にも。今年の「奇跡」は力強かったが、今は終わった。次は何か?
歴史は今後のさらなる上昇を示唆する。減速するかもしれないが、世界の政治は2023年の残りの期間と24年に向けて株式を――阻むのではなく――助けるだろう。以降、順に説明していこう。
22~23年の米中間選挙の奇跡は、ほぼ完璧に近いものだった。米ドルベースで、22年第4四半期~23年第2四半期にかけて米国株はそれぞれ7.6%、7.5%、8.7%上昇し、信頼できるデータがある1925年以来の過去平均である6.3%、6.6%、5.5%と同水準だ。10月~6月全体では25.7%上昇し、過去平均の19.5%を上回った。
前述の通り、昨年、私は米国株と世界株――日本株を含む――は相関が強いため、このすべてに米国の国境を越えて強気の兆しが見られると述べた。当該3四半期間の世界株は、円ベースで26.1%の累積リターン(米ドルベースで26.3%)を上げている。
TOPIXはどうか?同じく大幅上昇し、第4~第2四半期にかけてそれぞれ円ベースで3.3%、7.2%、14.4%上昇した。世界株や米国株との四半期ごとの乖離は、おおむね業種の偏りで説明できる。考えてみよう: 資本財、一般消費財、テック――日本の時価総額の半分以上を占める――は世界市場で23年前半にそれぞれ25.0%、41.0%、52.1%と驚異的上昇を見せた。とはいえ10~6月全体でTOPIXは26.7%上昇し、世界市場のリターンと酷似している。
いったん“奇跡”は終わった。だが、上昇トレンドは続く可能性が高い。以降、その理由について、定量データを踏まえ、さらに詳しく見ていこう。